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アレッサンドロ・メンディーニ

チェーザレ・マリーア・カサーティ
(イタリア)

リチャード・グラックマン

1936年、ミラノ生まれ。ミラノで息子マッテオと、工業デザイン・建築事務所「スタジオD.A.」を共同経営する。学生の頃から、複数の重要プロジェクトで故ジオ・ポンティと共に仕事をする機会を得ている。プロとして自身でデザイン活動を始めてからも、ミラノのクアルティエーレ・テッセラを初め、出版社ドムスの本社ビル、ソレントのホテル、パルコ・ディ・プリンチピ、エルバ島のカポ・デッレ・ペルレの都市計画等でポンティと共同してプロジェクトを達成した。

オディール・デック

 この作品は、設計コンセプトであって、一種のアンビルト建築です。鳥かごというのは私にとって非常に魅力的なテーマでした。そこで、ます「鳥かごとは何なのか」、ということを理解する必要があります。というのも、建築は人間のためのもので、鳥かごは鳥のためのものなのですが、建築は時として鳥かごと同じ意味をもつことがあるからです。そこで、私が考えたのは、モノとしての建築ではなく、それが建てられる場所によって変容する建築でした。それは、その場所の景観であったり、視界であったりします。それは自然の変容であり、別の言い方をすれば、自然をいかに理解するかということです。なぜなら、建築とは元来、自然の中に人工物を置くことにほかならないからです。そこで、ヴァーチャルな方法でイメージを排除しようという試みから生まれたのが、この作品です。つまり、物理的なオブジェを、非物質的なオブジェに変容させるという、きわめて挑発的な試みでもあります。具体的には、望遠鏡の仕組みや鏡を使って、周囲の環境をすべて写し出すとともに、消失させます。つまり、従来の建築の外観のイメージを排除する、新しい建築の方法なのです。ヴァーチャルにイメージを操作しながら、別次元のイメージの世界を想定するという、かなり複雑なものですが、それによって感情、情緒が生まれます。もともと、建築の使命とは、人間を風雨など自然から守るということの他に、こうした感情、情緒、さらに言えば幸福感や心地よさを人々の心に芽生えさせることでもあったのです。

アクセル・シュルテス

ウィル・アルソップ

チェーザレ・マリーア・カサーティ