INDEX▲

アレッサンドロ・メンディーニ

リチャード・グラックマン

オディール・デック
(フランス)

オディール・デック

1978年パリ第6大学で建築学のディプロマ取得。1979年パリ政経大学で都市生活・都市計画学のディプロマ取得。1997年フランス建築アカデミー会員。2001年芸術・文芸勲章コマンドゥール賞受勲。2003年、レジオンドヌール・シュヴァリエ章受勲。最近の活動は、ローマ現代美術館。リアウニヒ・コレクション美術館、(ノイハウス-オーストリア )。

 このバードハウスは、鳥のためのタワーです。
 私たちは今、都市で生活を行い、今後ますます都市で生活する人が増えてくることでしょう。それで、私たちは必用となるタワーを作成したのです。これは、都市の中心部で生活する鳥のためのタワーです。もし私たちがタワーを作るとなると、それはこの網のようにとても軽いものでなくてはなりません。またこれらの異なる棒は、タワーの中で他の階に移動するためにあるのです。通常都市では、階は地上と平行となるよう保たれており、上階へ移動する際には遠回りをしなくてはなりません。がしかし未来では、私たちの住空間は今よりも必要になるため、3つの異なる体積の中で暮らすことが要求されます。すると、そのタワーに入るのに、地上階のみから入る必要はないのです。都市は、今のそれとは大分異なるものとなるでしょう。鳥は空を飛び、そして軽いのです。そして空中においては、地上から入ってくる必要はないのです。もっと高いところ、タワーの最も高い場所から入ることもできるのです。

デック氏への質問
・子供の頃の夢は?
 探検家になりたいと思っていました。探検家。それは、国、物事、自然、国そして人々を発見する人のことです。
・子供時代のヒーローは?
 名前を思い出せないのですが、それはある探検家でした。私はアリード・モンフレーのような、砂漠や国々を発見するためにアフリカへ渡り、その分野の先駆者となった人に大変興味を持っていました。リスクを背負いながら海外で生活し、海を渡って国々を超え、最終的に何か違うものを発見した人です。
・現在の環境問題に対しての意見をお聞かせください
 現在の環境は非常に深刻な状態に置かれていると思います。なぜなら私たちは今、私たちを省みることのないテクノロジーに囲まれた都市の中で生活しているからです。今後も都市に住み続けたいと考えるのであれば、消えかける自然をより良い状態で維持するよう、努めるべきだと思います。私たちが生活するには、都市の成長また世界の爆発を制限しなければならず、おそらく都市の高い所へ行かなければならないでしょう。同時に、もし私たちが正しい環境の中で生活をしたいと考えるのであれば、より自由で空間的に余裕のある場所で、生き抜くことが出来るでしょう。もし十分な空間がないのであれば、地上へ行かなければなりません。しかし、私は自然に存在することを望みます。
・美術館の役割とは?
 それは、どのような種類の美術館であるかによって異なります。歴史的なアート、歴史的な物、歴史的な何かを維持するための美術館であれば、それは記憶するための美術館です。世界の記憶を保つための場所であり、それによって人々を豊かにし、何かを忘れない記憶と触れあう場所なのです。対して、私が取り組んでいる美術館は未来のための美術館です。美術館には、二つの異なる可能性があります。「記憶を留めておくこと」と、「未来を創造すること」です。後者は、人々に自分自身について考察する機会を与え、喜びや楽しみを与えることができます。なぜなら、通常現代アートの美術館において、人々は目の前の作品が何であるのか、どのような意味があるのかについて常に自らに問いかけています。なぜ作者がその作品を制作したのであろう、などと考えますが、決して答えを見つけることはありません。そのように人々は、常に自らに問いかけを行うのです。私の、建築家としての現代アート美術館を建てる目的は、人々が自然な形でアートと接することを可能とすることです。私にとってアートとは決して聖なる物ではなく、生活の中に根ざしたものなのです。美術館へ足を運ぶということは、聖なる物のために教会へ赴くような性質のものではなく、人々が自由に廊下を歩いたり動いたりしながら何かを発見するようなことなのです。美術館は、死のために存在しているのではなく、生のために存在しているのです。通常美術館では、古い物、つまり死んでいる物を保有していることから、何かとても神聖な場所だと思われがちですが、私にとって必ずしもそうではないのです。私にとって美術館とは、生のための場所なのです。
・建築家になった理由は?
 おそらく、人々により良い場所とより良い生活空間を提供することに努めるためです。何かを建てるということではなく、人々に何かを与えるということが重要なポイントです。これは私の哲学なのです。私は世界はこうあるべきであるなどというような知的なことではなく、人々が幸福に生活できる場所を提供したいと考えています。
 まだ若かった頃、私はアートに囲まれて生活していました。建築家になろうと思ったきっかけはよくわかりませんが、建築学自体に興味を持って、それを学び始めていました。 今では、建築が女性向きであり、それほど科学的でないことを発見しました。たとえそれが科学的テクノロジーであったとしても、それほど違和感を覚えず、テクノロジーは好きですし、人々のために空間を作り出すことが好きなのです。私は先に述べたように、物事を人々と結び付けています。それは、都市や物、空間、建物ではなく、人々が重要なのです。私は建築を考えるるとき、人々の存在を忘れることはできません。
・世界中の子供達へのメッセージ
 私は、世界中の子供達は、世界は結局今よりも良くなると考えていると信じています。なぜなら、私が生徒達に教えていた際に、彼らが未来は決して今よりも良くなると信じていないということを知って、とても驚いたからです。現代は、未来がより良いものになると信じるにはあまりにも難しい問題が山積みしています。私の次世代へのメッセージは、明日の世界がより良いものになると信じ、それらは彼ら自身が作り上げてゆくものだ、ということです。

アクセル・シュルテス

ウィル・アルソップ

チェーザレ・マリーア・カサーティ